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yoshida akira works diary
エビ子供

個展の展示風景 3

こちらは地下のスペース。
エビ子供を展示。

 

 

  「エビ子供」
2016 ガラス繊維強化プラスチック ステンレス 鉄 ウレタン塗装 エアブラシによる彩色   H91xW76xD28cm

 

「ダルマ」はギリシャ経済危機の際にニュースなどでもちいられた「バスケットケース(basket case)」という表現からインスピレーションを受けて制作しました。「バスケットケース」は戦場で両腕・両脚を失い担架で運べない兵士を指す言葉が転じて、巨額の財政赤字で苦境に陥いる国を指します。それを福島第一原発事故以降の日本の状況に当てはめたのが「ダルマ」シリーズです。手足のない「バスケットケース」という状態を日本的な「ダルマ」へと形状的にすり替え、さらにその「ダルマ」を溶けていく形態に発展させたことで 「手も足も出ない上に溶けてしまっている」という厳しい現代日本の状態を表そうと試みました。

「ダルマ」シリーズの制作をする一方、2011年の東日本大震災以降、世界が少し変わったような感覚を持つようになりました。これまでの想像を超えるような様々な事象が次々と発生し、それらが起きるスピードはどんどん加速するのに反比例するかのように、ひとつひとつの事象の重みは軽く感じてしまうというものです。

「猛烈なスピードで移りかわっていく世界の中で起こる一つ一つの出来事を直接的に作品化するよりも、『少し変わってしまったような世界』そのものを表出する方がより現在の状況を表現できるのでははないか」と考え、これまでの「事象に対する直接的なアイロニー」という手法から、「ナンセンス、カオティックな状況を作品に持ち込む」という方法で現代性を表現しようと試みるようになりました。その中で生まれたのが新作「エビ子供」作品です。

 
上記のテキストを添え、展示をおこないました。